世界一の興行収入を誇る、中国の映画産業。
その構造と映画が表す文化の奥深さについて、2名の先生方をお招きしてご講演いただきます。
日時:2023年6月24日(土)13:00-15:30
場所:早稲田大学26号館多目的地下講義室
申し込み方法:ポスター内のQRコードをスキャンしてください
<講演内容>
第1部 中嶋聖雄氏
1980年代以降に出現した様々なタイプやジャンルの中国映画を社会学・産業論的に概観する。具体的には、1)張芸謀の『紅いコーリャン』(1987年)に代表されるような、いわゆる「第五世代」一文化大革命後に映画教育を受け、80年代半ばから新しいスタイルの作品をつぎつぎと発表した監督たちーの作品;2)90年代以降、市場経済化の加速とともに噴出したさまざまな社会問題(失業・犯罪・若者の政治的無力感など)を扱ったインディペンデント映画監督たちの作品、例えば、張元の『北京バスターズ』(1993年)や賈樟柯の『プラットホーム』(2000年)、さらには「新中国ドキュメンタリー映画運動」につながる潮流;3) 馮小剛に代表される正月コメディ映画から、近年のアイドル映画を含む商業・娯楽映画;4)政府の資金援助を得て製作される映画一いわゆる「主旋律映画」ーと、「新主流映画」とよばれることもある娯楽・商業主義とナショナリズムを融合させた映画、の四つのタイプの中国映画を、それらの社会的背景や産業論的背景に着目しつつ概観する。さらに、近年、特に2017年に「映画産業振興法」が公布されて以降の新しいタイプのアート映画、インターネット・ドキュメンタリー映画、アニメ映画等の新潮流に言及しつつ、中国映画における新たな動きも紹介する。講義全体を通して、中国映画と日本とのかかわりについても、適宜触れることにする。
第2部 刈間文俊氏
「戦狼」の主人公はなぜ恋を語らないのか〜人物表象の文武分業制
ふだん何気なく見ている映画も、そこには自分たちの文化の蓄積がいわば型のように顔を覗かせている。中国のアクション映画では、ヒーローはどう恋を語るのだろうか。語ることができるのだろうか。『三国演義』の関羽や張飛が恋を語ることはなく、恋を語るのは『西和記』や『紅楼夢』の世界だったように、中国では人物表象の文武分業が伝統となっていた。では、その流れは代表的なアクション映画「戦狼」では、どのように表現されるのだろう。このテーマを、ただひたすら恋を追い求める男が、日中間でどう描かれたかを逆の手掛かりにして考えてみたい。
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